中医学から見る新型コロナ感染の対応(予防2)

カテゴリー/ ブログ |投稿者/ FP鍼灸師 俣野
2020年04月25日

新型コロナウイルス感染症の治療と予防は難しいのは何故でしょうか。簡単に言えば、新型コロナウイルスは非常に小さく、その免疫系統が見つけにくいこと、さらに、狡賢くて、頻繁に変異していることが関係しています。

新型コロナウイルスは自分の細胞を持たないため、人の細胞に入り込んで生きていく仕組みもあります。ウイルスが体の細胞に侵入してからさらに自分を沢山コピーして、細胞が破裂した際にウイルスが飛び出し、ほかの細胞に感染して増殖していきます。

これまでにインフルエンザウイルス、ノロウイルス、HIVウイルス、SARSウイルスなどが知られていますが、新型コロナウイルスは驚異的で、世界各国の感染者数及び死者数はとどまるところを知りません。今回はウイルスをやっつける二つの武器をご紹介します。

1.IgA抗体

1つ目の武器となるのは抗体です。その中でもIgA抗体は生体内において最も産生量の多い抗体で、分泌型IgA抗体として各種ウイルスの粘膜組織を標的とした感染症に対する生体防御の最前線を担っており、特に鼻を始めとした上呼吸道粘膜からIgA抗体は多く分泌されます。

飛沫から入るウイルスを捕えて、ウイルスの活性を弱くさせます。元気な方が、ウイルスの影響をうけにくい理由は、上呼吸道の粘膜が充分で、IgAが多く分泌されるからです。高齢の方がウイルスに感染しやすい原因は、上呼吸道の粘膜が徐々に萎縮し、IgAの分泌量が少なくなるためです。

中医学的に考えると、上呼吸道粘膜の厚薄と機能の状況は、肺脾の臓腑機能や衛気の防衛機能などと関係しています。つまり、肺脾の臓腑機能や衛気の防衛機能が強くなると、ウイルスを遮断する力は強なるのです。

中国の薬理研究や動物実験データにより、肺脾の気を補い衛気を増強する「玉屏風散」は上呼吸道粘膜の厚さとIgA抗体の分泌を増強することが確認されました。
2.マクロファージ

2つ目の武器となるのはマクロファージ細胞です。これは体内に侵入したウイルスを遮断する武器になります。
マクロファージは血液中の単核白血球から分化してきましたが、量と質は骨髄と関係しています。組織に入った後の寿命は数カ月です。生体内をアメーバ様の運動をする遊走性の食細胞で、侵入したウイルスや菌などの異物を捕食し、まさに掃除機的な役割を果たすので、ウイルス感染の予防と治療に非常に良い武器と言われます。

中医学的に考えると、マクロファージ細胞の生成は脾腎と関係しています。健脾補腎の中医薬はマクロファージ細胞の質と量を高めることが確認されました。

中国の薬理研究と動物実験データでは、健脾補腎作用を持つ人参(多糖)と五味子(多糖)及び生脈飲注射液はマウスのマクロファージ細胞の大きさと増殖速度及び貪食作用を増強することができると確認されています。したがって、生脈飲は新型コロナウイルス感染症の予防に効果的であると推測することができます。

SARSウイルスが流行った時、私はちょうど中国留学中で病院で実習中でした。もちろん実習も中止になり、自宅待機になりました。SARSウイルスに黒酢が効くとデマがながれ、みんな部屋中に黒酢を散布して臭かったなーと思い出します。その時、病院でも予防の漢方を配って飲んでいた事も覚えています。重症者は病院の集中治療が必要かとおもいます。軽症者や感染疑いのある方は自宅待機と中成薬を使って身体の免疫をあげる。そして、重症化になるのを防ぐのが医療崩壊を防ぐことに繋がります。

Top