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中医学から見る新型コロナ感染の対応(ツボ編)

カテゴリー/ ブログ |投稿者/ FP鍼灸師 俣野
2020年04月27日

世界規模で感染か広がっている新型コロナウイルス。マスク、消毒液をつかいウイルスを身体にいれないという予防対策はもちろん効果的ですが、ウイルスが体に入ってきても、やっつけられるくらい身体を強くしておくことも大切だと思います。つまり免疫力を高めるということです。東洋医学的に簡単に免疫力を上げられる予防法と免疫力を上げるツボを紹介したいと思います。

免疫力を高めるには、①体温を高めること ②腸内環境を整えること ③生活習慣を改善すること ④治療になります。
 
①体温を高める事により、血流が促進され体内の異物への攻撃に素早く反応。体温が1度下がると30%も免疫力が低下すると言われています。もともと低い方もおられますが、免疫細胞が正常に働くには36.5度くらいです。体温が低い方は、適度な運動や食事・睡眠で体質改善を行いましょう。血行改善の漢方もおすすめです。
 
②免疫細胞の約6割は腸にて、善玉菌を多くすることで活発に動きます。ヨーグルトなどの乳酸菌や納豆・味噌・醤油などの発酵食品は善玉菌を増やし、免疫力を高めることが出来ます。私は日本に古来からある発酵食品をよく食べています。乳酸菌が腸の中で増えるためには乳酸菌にも食べ物をあたえなければなりません。中成薬に乳酸菌の餌になるものが有りますので試してみてください。口から大量の乳酸菌をとっても食事を与えてくれないと働いてくれません。

③生活習慣を改善するのは、食事・睡眠・運動になります。軽く汗をかく程度に運動を行い、20〜30分程度湯船に浸かり、最低6〜7以上の睡眠をとることを心がけてください。食事も腹八分目を心掛けると胃腸を休ませることにもなって調子がよくなります。

④治療とは鍼灸や漢方薬治療です。鍼やお灸でツボに刺激を与え免疫力を上げることに繋がります。漢方もその人、その時、その体質によって様々ですので中医学に詳しい治療所で相談されるのがいいです。

ツボ刺激で免疫力UP

免疫力を高めるにはお灸がおすすめです。お灸の熱刺激ともぐさの薬効成分が免疫力を高めてくれます。ヨモギはヨーロッパではハーブの女王と言われるほど様々な効果がある薬草で浄血、増血、止血、消毒、殺菌、鎮静、鎮痛作用など万能薬です。またもぐさの匂いにはリラックス効果もあります。私がよく使うツボをいくつか紹介します。押したりお灸したりしてみてください。当院にもあつかいやすいお灸を販売しておりますのでお聞きください。

1、兪府(ゆふ)
鎖骨と胸骨の角。鎖骨の下縁をなぞりながら体の中心に移動させ止まった所

2、大椎(だいつい)
 頭を前に倒すと首元にボコっと飛び出る骨があります。その飛び出た骨のすぐ下の凹み。

3、陽陵泉(ようりょうせん)
膝の外側の真横下にある突出した骨の下のくぼみの所

4、手三里(てさんり)
肘を曲げたときにできるシワに人差し指を置き指3本分の所

5、足三里(あしさんり)
膝の骨の下にある外側のくぼみに人差し指を置きそこから指4本分の所

6、承山(しょうざん)
膝裏の中心と足首を結んだほぼ真ん中の所

衛気を高めると自然免疫バリア機構が活性化します。身体は目の涙により殺菌、鼻と口で鼻水、痰、唾液など、咽頭の繊毛上皮や粘膜、胃の胃酸などが身体の第一線で身体を守ってくれています。上記のツボを刺激すると分泌が促進され身体のバリアがしっかりします。

 

 

中医学から見る新型コロナ感染の対応(予防2)

カテゴリー/ ブログ |投稿者/ FP鍼灸師 俣野
2020年04月25日

新型コロナウイルス感染症の治療と予防は難しいのは何故でしょうか。簡単に言えば、新型コロナウイルスは非常に小さく、その免疫系統が見つけにくいこと、さらに、狡賢くて、頻繁に変異していることが関係しています。

新型コロナウイルスは自分の細胞を持たないため、人の細胞に入り込んで生きていく仕組みもあります。ウイルスが体の細胞に侵入してからさらに自分を沢山コピーして、細胞が破裂した際にウイルスが飛び出し、ほかの細胞に感染して増殖していきます。

これまでにインフルエンザウイルス、ノロウイルス、HIVウイルス、SARSウイルスなどが知られていますが、新型コロナウイルスは驚異的で、世界各国の感染者数及び死者数はとどまるところを知りません。今回はウイルスをやっつける二つの武器をご紹介します。

1.IgA抗体

1つ目の武器となるのは抗体です。その中でもIgA抗体は生体内において最も産生量の多い抗体で、分泌型IgA抗体として各種ウイルスの粘膜組織を標的とした感染症に対する生体防御の最前線を担っており、特に鼻を始めとした上呼吸道粘膜からIgA抗体は多く分泌されます。

飛沫から入るウイルスを捕えて、ウイルスの活性を弱くさせます。元気な方が、ウイルスの影響をうけにくい理由は、上呼吸道の粘膜が充分で、IgAが多く分泌されるからです。高齢の方がウイルスに感染しやすい原因は、上呼吸道の粘膜が徐々に萎縮し、IgAの分泌量が少なくなるためです。

中医学的に考えると、上呼吸道粘膜の厚薄と機能の状況は、肺脾の臓腑機能や衛気の防衛機能などと関係しています。つまり、肺脾の臓腑機能や衛気の防衛機能が強くなると、ウイルスを遮断する力は強なるのです。

中国の薬理研究や動物実験データにより、肺脾の気を補い衛気を増強する「玉屏風散」は上呼吸道粘膜の厚さとIgA抗体の分泌を増強することが確認されました。
2.マクロファージ

2つ目の武器となるのはマクロファージ細胞です。これは体内に侵入したウイルスを遮断する武器になります。
マクロファージは血液中の単核白血球から分化してきましたが、量と質は骨髄と関係しています。組織に入った後の寿命は数カ月です。生体内をアメーバ様の運動をする遊走性の食細胞で、侵入したウイルスや菌などの異物を捕食し、まさに掃除機的な役割を果たすので、ウイルス感染の予防と治療に非常に良い武器と言われます。

中医学的に考えると、マクロファージ細胞の生成は脾腎と関係しています。健脾補腎の中医薬はマクロファージ細胞の質と量を高めることが確認されました。

中国の薬理研究と動物実験データでは、健脾補腎作用を持つ人参(多糖)と五味子(多糖)及び生脈飲注射液はマウスのマクロファージ細胞の大きさと増殖速度及び貪食作用を増強することができると確認されています。したがって、生脈飲は新型コロナウイルス感染症の予防に効果的であると推測することができます。

SARSウイルスが流行った時、私はちょうど中国留学中で病院で実習中でした。もちろん実習も中止になり、自宅待機になりました。SARSウイルスに黒酢が効くとデマがながれ、みんな部屋中に黒酢を散布して臭かったなーと思い出します。その時、病院でも予防の漢方を配って飲んでいた事も覚えています。重症者は病院の集中治療が必要かとおもいます。軽症者や感染疑いのある方は自宅待機と中成薬を使って身体の免疫をあげる。そして、重症化になるのを防ぐのが医療崩壊を防ぐことに繋がります。

 

 

中医学から見る新型コロナ感染の対応(予防1)

カテゴリー/ ブログ |投稿者/ FP鍼灸師 俣野
2020年04月24日

【免疫を助けて体を守ること】

1 粘液バリアを強化する(粘液分泌を促進する)→養陰(潤い)が必要なのでそれに対応した中成薬を補う

2 粘膜バリアを強化する(IgA、デイフェシンを増やす)→肺脾の臓腑機能や衛気の防衛機能が強くなる中成薬を使う

3 細胞自身の抗ウイルス力を高める(オートファジー、INFなどを活性化する)

4 自然免疫(細胞免疫)を助ける(マクロファージ、好中球、Tリンパ球、NK細胞)→健脾補腎薬で細胞の質と量を高める

5 獲得免疫(液体免疫)を助ける(IgM、IgG)→益気(元気)が必要なのでそれに対応した中成薬を補う

ウイルスは体の中に侵入にて体の細胞に入ろうとします。1から5の対策をとっておくとウイルスを外に出すことが出来ます。

横綱の相撲みたいにウイルスがきてもどっしり構え、受け止め、はね返すような強い力が欲しいですね。それは毎日の稽古(免疫力を上げる)が必要です。普段から食事、睡眠、そして中成薬と鍼灸治療など東洋医学を上手につかっていくことが大切です。

【鼻呼吸を重視すること】

鼻呼吸の場合、ます繊毛や粘液で異物をろ過→副鼻腔で温められる→扁桃リンパ組織がさらに異物を防御します。鼻呼吸をすることによって70%は鼻のフィルターで除去されます。当院も空気清浄機のフィルターを交換しました。10年交換と書いてありますが古いフィルターは黒く硬くなっていたので変えてみました。それと同じように人間の鼻のフィルターもいい状態にするために潤いが(養陰)必要になってきます。

口呼吸の場合は直接乾いた冷たい空気が肺に入ります。もちろん空気中の有害な物質も直接肺に入ってしまいます。特にドライマウス蓄膿症、慢性鼻炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、睡眠中呼吸困難症候群、イビキの人は特に注意が必要です。それぞれに症状にあった中成薬や対策をとらないと感染しやすくなります。

 

 

中国の新型肺炎患者5万人の大半、中医学治療で回復

カテゴリー/ ブログ |投稿者/ FP鍼灸師 俣野
2020年04月12日

中国の新華新聞に中国国内での新型肺炎の治療に中医学が導入され、熱や咳、だるさなどの症状を早めに緩和して回復力を上げ、軽い症状が重症化する率と死亡率を下げるのに効果があったと報道されました。

昨夜は中国工程院院士 張伯礼教授とのWEB交流会に参加しました。張伯礼教授は感染症発生直後いち早く武漢の医療現場に赴き、中医学を実践されてきた先生です。現地で実際にどのような取り組みをされてきたのかアドバイスをしていただきました。

武漢のパニック時はそんな余裕はなくて、とにかく扶生(元気をつける)と袪邪(悪いものを追い出す)を徹底してきた。

鍼灸も肺の力を上げるために実践してきたとおっしゃってました。日本はまだパニックになっていないのでしっかり弁証論治ができる時間がある。その人にあった治療法を選択するのが一番です。

当院にも現地で予防と治療に使われている漢方もあります。鍼灸治療もしています。気になる方はお尋ねください。

 

 
 
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